杭を打込む地盤の土とバイブロを吊り下げるクレーンのブームにはある固有振動数が存在します。この固有振動数(=λ)とバイブロの強制振動数(=ω)が近似的に一致する共振(共鳴)現象が発生し、振動(振幅)が大きくなります。偏心モーメントのゼロ変換器は歯車またはスプライン方式による接触型が一般的ですが、ゼロバイブロが搭載する変換器の特徴は以下となります。
- 油圧式で非接触型であること
- 一軸上で固定偏心体と可動偏心体が180度相対してゼロ起動すること
- バイブロは、ゼロ起動し、所定の振動数に達するまで起振機は振動しないこと
- 停止時にも偏心モーメントをゼロとし、土やクレーンブームとの共振を回避し、騒音や振動公害を少なくすること
- 運転中でも自由に偏心モーメントを変換でき、電動機や油圧モータの出力を制御できること
共振がないことを Free of Resonanceと言いますが、ゼロバイブロは、このリゾナンスフリーバイブロと呼ばれています。
日本における卓越した土の固有振動数は550cpm(9.2Hz)から1200cpm(20Hz)くらいのところに、ブームの固有振動数は12mのブーム長で700cpm(11.7Hz)から800cpm(13.3Hz)、18mおよび21mのブーム長では400cpm(6.7Hz)から600cpm(10Hz)くらいのところに存在するのでこのような共振振動数域では振動させずに通過するようにしています。
ただし、サンドコンパクション工法では600cpm(10Hz)付近の、小型バイブロやバイブロフローテーション工法では1200cpm(20Hz)付近の振動数で運転することにより共振した振動力を利用することにより、先閉じケーシングの打込み能力、杭の打込み能力、締固め効果等の増強を図ることを意図して採用される工法もあります。