バイブロで杭の頭部を把持して貫入させるとき、杭はバイブロによって静止状態からある速さをもって土中に貫入します。このように、バイブロの振動力がある時間(秒)の間作用したとき、杭が受けた力積はバイブロの作用した力の大きさと時間(秒)の積によって表されます。
打撃式のディーゼルハンマーや油圧ハンマーは、ラムの大きさが大きく、杭を打撃するときの打撃速度が大きいために、力積が大きくバイブロより遥かに打込み能力に優れています。
力積をボクシングに例えると、フライ級とミドル級とで対戦したときに、フライ級のスピードあるパンチを受けてもダウンせず、重たく意外とスピードがあるミドル級のパンチを受けると一発でダウンします。これが力積の大きさの差です。
バイブロの力積が大きいと、杭の先端にかかる抵抗力を小さくする力が大きく、杭の打込み能力が増します。力積は、偏心モーメントの大きさと角振動数に比例して大きくなります。式で表すと、次のようになります。
I=K・ω/g
I:バイブロの力積(kg・sec)
K:偏心重錘のもっている偏心モーメント量(kg・m)
g:重力加速度(9.8m/sec2)